2009年10月27日火曜日

私は牢の中にいた
世界は一面、白と黒と銀色で、白黒映画のように無色だった
膝を抱えて、うずくまり座っていると、鐘の音が聞こえた
驚いたカラスが二三羽飛び立ち、空に消えた
ふと目を遠くへ移すと、赤色のサクランボが、黒い葉っぱの木になっているのが見えた

人は容易に幻覚を見ることができる
夜寝ている時、
イスの背もたれの黒い塊を見ると
白い目が開くのが見える

でも幻覚を見ようとすると、幻覚が見えるので
幻覚を見ようとしないようにする

怖いものは、こちらから話しかけない限り顔を出さない

巨大な赤い塊が、天井を突き抜け
部屋の中のもの全てを押しつぶすような気がしてしまうと
本当にそうなってしまう

だから決してそんなことを
考えてはいけない

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