ある国ではフランスパンが人気だった
あるパン職人がパン屋を開いた
しかし決してフランスパンはだけは作らなかった
理由を聞いたところ
「あざといから作りたくない」らしい
フランスパンを作れば売れることがわかっている
でもそれでは自分の実力を測れない
だからそれ以外の
自分オリジナルのパンを作って
評価されたいのだそうだ
パン職人は
パンだかなんだかよくわからないものを量産した
正直それらはマズくて食えたものではなかった
飢饉で皆がお腹を好かせた時も
人々は
その見習いパン職人の作るパンを
食べようとしなかった
人々は
パン屋の自己顕示などはどうでもよく
ただただ自己の空腹を満たしたかった
人々は代わりに他のパン屋の売るフランスパンを食べて飢えを凌いだ
いつしか、そのパン職人はフランスパンを憎んでいた
売れてやる、評価されてやると
皆を呪いながら
パンを作り続けた
しかし
誰にも評価されることもなく
パン屋はつぶれた
パン職人は頭がおかしくなって病院に入った
ある精神科医がそのパン職人の担当医になった
精神科医はパン職人をどうにかして回復させたい
せめてリハビリにと
パン職人にパンを作らせた
しかしそのパン職人は
フランスパンどころか
どんなパンもまともに作れなかった
「どうして作れないのですか?」
と理由を聞いたところパン職人は
「クロワッサンも、アンパンも、ジャムパンも
それは皆が好むもので
すなわち邪道だからだ」
とパン職人は答えた
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